滅亡の喜び 生田春月 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)肢《し》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)[#4字下げ] ------------------------------------------------------- [#4字下げ]一[#「一」は中見出し] 我が肢《し》は甘くたるみて 痛む頭《かしら》もこゝろよし、 この頭くらく、めくるめくとき、 失ひし楽園は幻に見ゆ。 [#4字下げ]二[#「二」は中見出し] 手はふるひ、足はよろめく さながら、酔ひどれが 家路へかへるにも似て、 地獄の門に倒れ入らん。 [#4字下げ]三[#「三」は中見出し] 滅びよ、滅びよ、いとしき我が身、 急げよ、たのしき地獄の門へ。 すべてのものゝ存在せざる 其処《そこ》にこそ我が失ひし楽園はあれ。 底本:「日本の詩歌 26 近代詩集」中央公論社    1970(昭和45)年4月15日初版発行    1979(昭和54)年11月20日新訂版発行 底本の親本:「霊魂の秋」新潮社    1917(大正6)年12月15日発行 入力:hitsuji 校正:The Creative CAT 2023年2月10日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。