銭形平次捕物控 橋場の人魚 野村胡堂 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)悪刷《あくず》り |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)大方|諳《そら》んじて [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定    (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)② ------------------------------------------------------- [#5字下げ]一[#「一」は中見出し]  八五郎の顔の広さ、足まめに江戸中を駆け廻って、いたるところから、珍奇なニュースを仕入れて来るのでした。  江戸の新聞は落首と悪刷《あくず》りであったように、江戸の諜報《ちょうほう》機関は斯《こ》う言った早耳と井戸端会議と、そして年中どこかで開かれている、寄合い事であったのです。 「お早うございます。良い陽気になりましたね、親分」  八五郎といえども、腹がいっぱいで、でっかい紙入に、二つ三つ小粒が入っていると、こんな尋常の挨拶をすることもあります。 「たいそう機嫌が良いじゃないか、――お前の大変が飛び込まないと、――今日は大きな夕立でも来やしないかと、ツイ空模様を見る気になるよ」 「ヘッ、天下は静謐《せいひつ》ですよ、――親分におかせられても御機嫌麗わしいようで」 「馬鹿野郎、御直参《ごじきさん》見てえな挨拶をしやがって」 「親分の縄張り内はろくな夫婦喧嘩もねえが、三輪《みのわ》の万七親分の縄張りには、昨日ちょいとしたことがあったそうで」 「チョイとしたこと――というと」  平次に取っては、八五郎の『大変』よりは、この『チョイとした事』の方に興味を惹《ひ》かれるのです。 「橋場の金持の息子が、土左衛門になったんで、いっこうにつまらない話で」 「まだ桜が散ったばかりだぜ、――泳ぎには早いし、金持の息子が、身投げするのも変じゃないか」  平次はこの短い報告の中から、幾つかの腑《ふ》に落ちない点を見出して居るのです。 「あっしも、変だと思ったから、昼過ぎに覗いて見ました。死んだ息子の親許の、橋場の伊豆屋ものぞいて見ましたがね――」 「待ってくれ、橋場の伊豆屋の伜《せがれ》が水死したというのか、そいつはお前、大した金持の子じゃないか」  その頃は江戸八百八町と言っても、人口にして百万に充たず、有名な物持や大町人や、筋の通った家柄は、御用聞の平次ならずとも大方|諳《そら》んじていたのです。  橋場というところは、いちおう江戸の場末のようですが、吉原という不夜城を控え、向島と相対して、今戸から橋場へかけて、なかなかの繁昌であったことは想像に難くありません。  その橋場の中ほど、銭座《ぜにざ》寄りに、伊豆屋は質両替の組頭として、古い暖簾《のれん》を掛けておりました。 「大した金持なんですってね、こちとらには付き合いはねえが」 「当り前だ。――尤も、伊豆屋の名前は聴いているが、主人は何んと言うか、伜はどんな男か、お前の言い草じゃねえが、俺も付き合いはねえ」 「主人は、因業《いんごう》で禿《は》げ頭で、恐ろしく達者で、釣が好きで、五十年輩の徳兵衛。伜は菊次郎と言って、芝居の色子見たいな二十一の好い男、青|瓢箪《びょうたん》で、鼻声で、小唄の一つもいけて、女の子には持てるが、飯の足しになることは一つも出来ない」 「たいそう悪く言うぜ、怨《うら》みでもあるのか」 「質を置きに行って断られたわけじゃないから、恩も怨みもありゃしません、――その色息子の菊次郎が、自分の家の潮入の池から笹舟のような小さな釣舟を漕ぎ出し、隅田川の真ん中で引っくり返して、舟は両国の中程の橋|桁《げた》に引っ掛けて居たが、本人は土左衛門になって、百本|杭《ぐい》で見付かった」 「それは気の毒な」 「死んで見れば気の毒見たいなもので、そのうえ菊次郎には許嫁の娘があったんですよ」 「フーム」 「伊豆屋に引取られて、あっしもちょいと逢って来ましたが、とんだ良い娘でした。近いうちに祝言させることになっていたが、息子の菊次郎はそれを嫌って、向島あたりの凄いのに通いつめ、父親の伊豆屋徳兵衛は腹を立てて、押し籠め同様にしているという噂でした」 「よくあることだな」 「向島の凄いのは、あっしも見ませんが、許嫁というのは、伊豆屋の主人が若い時世話になったとかの武家の娘で、孤児《みなしご》になったのを、五年も前から引取って育てたということでした」 「フーム」 「少し武家風かも知れないが、それはそれは良い娘でした。あの娘を嫌ったりして、罰の当った話じゃありませんか」 「若い男と女が、いっしょに育ったりすると、反って兄妹見たいな心持になってしまって、夫婦の情は湧かないものらしいな」 「いっこうつまらねえ話でしょう。伊豆屋の若旦那が土左衛門になったと聴いて、橋場まで行って見ましたが、三輪の親分が睨《ね》め廻しているから、諦めて返りましたよ。いちおう両国へ廻って、死骸も見ましたが、両国の水除けか橋桁でやられたようで、首のあたりにひどい打撲《うちみ》のあとがありましたが、たったそれだけでたいしたことはありませんよ」  八五郎の報告はたったそれだけ、何んの変哲もなく話を結びました。 [#5字下げ]二[#「二」は中見出し] 「あの、お客様ですが」  平次の女房のお静は、障子を開けて、そっと取次ぐのです。 「どなただ?」 「あの、お名前は仰《おっ》しゃいませんが、若いお嬢さんで」 「どれ、あっしが行って見ましょう」  若いお嬢さんと聴くと、八五郎は早くも立ち上がって、お静を掻いのけるように。入口へ顔を出すのです。 「あわてた野郎だ」  苦笑いする平次の前へ、八五郎はニヤニヤしながら戻って来ました。 「来ましたよ、親分、とうとう」 「何が来たんだ、少し顎《あご》の紐を締めろ」 「伊豆屋の若旦那の許嫁ですよ。お夏さんとか言った、そりゃ良い娘で」 「それがどうした?」 「橋場から、駕籠《かご》で来たんですって。伊豆屋の息子が死んだのが、どうしても怪しいことばかりだから、銭形の親分に調べて頂きたいんですって」 「三輪《みのわ》の万七親分は?」 「水死に何んの疑いもないからと、帰ってしまったそうで、――お嬢さんは路地にいますよ。呼んで来ましょうか」 「ともかく逢って見よう」  平次が引受けると、八五郎はさっそく格子戸をガタピシさせながら路地に飛び出し、 「さアさア此方へ、ズイと入って下さい。遠慮することはない」  などと如才《じょさい》もありません。  八五郎に追っ立てられるように、平次の家へ入って来たのは、噂の通りの良い娘で、十九というには若々しく、媚《こび》も誇張もないので、少し淋し過ぎますが、眼鼻立ちの端麗な、いかにも武家風な感じのする美人でした。尤《もっと》も身扮《みなり》はありふれた町娘で、少しの厳《いか》めしさもあるわけはないのですが、折り屈みがキチンとして、少し浅黒くさえある、白粉《おしろい》っ気のない顔立ち、それもまた不思議な魅力です。 「どうなすった、お嬢さん。伊豆屋さんに何か変ったことでも」  平次は誘いの水を向けるように声を掛けました。 「いえ、何んにも変ったことはございませんが、私の腑《ふ》に落ちないことを、親分さんにお訊ねしたいと思いまして、父様《とうさま》にも内証で、出入りの若い衆に頼んで、送って貰いました」  ピタリと膝に手をおいて、静かに仰ぐ浅黒い顔は、刻みがはっきりして、唇の線の美しさも、睫毛《まつげ》の長い眼も非凡ですが、およそ十九の娘とは思われぬ、確《しっか》りしたものを持っているのです。 「どんなことが変だと思いました。お嬢さん」  平次は八五郎のモヤモヤするのを縁側に追い退《の》けて娘と二人相対しました。 「伊豆屋の総領、菊次郎さんが水死したことは、御存じでしょうね」 「それは今しがた八五郎から聞きました」 「その水死した菊次郎さんは、隅田川に夜中に舟を出して溺れた様子ですが、菊次郎さんは、よく舟が漕げなかったのです」 「?」 「そのうえ、両国の水除けに引掛った死骸の首に、紫色になった大きな打撲《うちみ》がありましたが、それは首の急所で、打ってはならないところです。そのうえ、橋場で舟から落ちて、両国まで流れるうち、泳ぎを知らない菊次郎さんは、生きている筈もなく、両国へ行ったときは、息が絶えている筈でございます」 「で」 「死骸になった菊次郎さんが、水除けに引っ掛ったとき、首筋を撲《う》ったくらいのことで、黒血が溜る筈もございません。打たれて黒くなるのは、生きている人に限ったことと成っておりますが――」  さすがは武家の娘で、この十九の娘の、眼の届くには驚きました。首筋と言うのは多分、頸部の大動脈《だいどうみゃく》でしょう。 「それだけで?」 「まだございます、――菊次郎様は、五百両の大金を持出したことは判っておりますが、舟にも、橋場近い川底にも、両国近くにも、菊次郎様の懐中《かいちゅう》にもなかったそうでございます」 「フーム」 「それだけの大金を持っていらっしゃれば、船は沈んでも、御自分は溺れても、お金の始末はしたことと存じますが」 「その金は、どうした金で」 「昼のうちに、奥蔵から出して、翌日は朝のうちに、人様に払うお金だったそうでございます」 「若旦那が持出したのは?」 「さア、そこまではわかり兼ねますが」  お夏はそれだけは言い兼ねた様子です。おそらく若旦那の菊次郎が、向島とやらにいる女に貢《みつ》ぐために持出したものかもわかりません。 「で、お嬢さんのお望みは、私に何をさせようと仰しゃるので」 「菊次郎さんは人手にかかって、害《あや》められたものに違いもございません。その下手人を親分の手で挙げていただき、私は菊次郎様の無念が晴らしとうございます」  お夏は確《しか》と言いきるのです。が、その顔には少しの苦渋も、嘆きらしいものも見られなかったのです。 「お心当りは、下手人の?」 「私は何んにも存じません」  これ以上は、無理に訊いても、お夏の口を開ける見込みはなかったでしょう。平次はしばらく考えておりましたが、 「参りましょう。三輪の親分には悪いが、どうも放っておけないような気がする」 「有難うございます、親分。それで私の気も済みます」  お夏は、首を垂れて、始めてホロリとするのです。この娘は何を考え、何を目論んでいるのか、平次にも見当はつきません。たった十九の娘が、こんなに利巧な筈はなく、こんなに思いきった行動をとれそうもなく、それよりも、こんなに非人情な筈はないように思えるのです。 [#5字下げ]三[#「三」は中見出し]  お夏の駕籠《かご》を先に帰してやって、平次と八五郎は、その後から続きました。橋場に着いたのは、やがて昼近いころ、彼岸も過ぎ、桜も散り、仏誕会《ぶったんえ》が近くなって、江戸の町もすっかり初夏です。 「ね、親分、良い娘でしょう。銘仙《めいせん》に黒い帯、拵えは地味だが、人間はそれよりもまだ地味で、ちょいと冗談も言えないが、あんな娘は反って、情が深いんですってね。化粧をした、ジャラジャラした娘と違って、何んとなくこう神々しいじゃありませんか。――伊豆屋の若旦那が、食いつけなかったのも無理はありませんね」 「無駄を言うな、それ、もう伊豆屋だ。大した構えだな、お前が先に入って、御主人に逢いたいと言って見ろ、――お夏さんに逢ったなどと言ちゃならねえ、宜いか」 「ヘエ」  八五郎は心得て店から飛び込みましたが、しばらくすると恐ろしく酸《す》っぱい顔をして戻って来ました。 「こいつは親分も見当はずれでしたよ。お嬢さんがもう四半刻も前に戻って、旦那の徳兵衛に打ちあけ、御主人が自分で出迎えましたよ」 「そんなことか」  これは平次も少し予想外だったようです。暖簾《のれん》をくぐると、手代が二三人、帳場格子から立って来た五十男――それは言うまでもなく主人の徳兵衛で、 「これはこれは銭形の親分さん、娘が飛んだ御無理を申上げたそうで、申訳もございません。いやもうこの節の若い者と来ては」  と、揉手《もみで》をするのです。筋肉質の確りした中老人で、柔弱だったという伜の菊次郎に此べて、これはまた、武家あがりと言った恰幅《かっぷく》です。 「飛んだことでしたね、お嬢さんが仰っしゃるのもいちおう尤もで。ともかく、いちおう調べたうえ、諦めて頂くものなら諦めて頂くようにしなきゃなりません」 「尤もなことで、ではまア、此方《こっち》へ」  主人の徳兵衛は平次と八五郎を引いて、土蔵の前の、人目に遠い小座敷に案内しました。娘のお夏は冷たいほど素気ない挨拶をしたっきり、お茶を運んで来て、あとは顔を見せないのは、八五郎をがっかりさせます。 「何より先に、あのお夏さんというお嬢さんのことを伺いたいのですが」 「飛んだ出過ぎたことをしたそうで、ああいった気性者も親譲りでございます。あの娘の父親と申すのは、立派な御家人でした。良いお役まで付いたのを、私の粗相を庇《かば》ってくれたばかりに役目を縮尻《しくじ》り、五年ほど前浪々の身で亡くなりました。その遺言で娘のお夏を引取り、私は娘のようにして育てました」 「若旦那の菊次郎さんとは?」 「親同士の許嫁で、本人もその気でいるようですが、伜の菊次郎は、お夏の気性を嫌って、祝言をする気にもならず、しだいに放埒《ほうらつ》に身を持ち崩して、飛んだことをいたしてしまいました」 「飛んだ事というのは」 「向島にお銀の茶屋というのがございます。水神《すいじん》の森の中で、花時は大した繁昌ですが、そのお銀と申す、如何《いかが》わしい女に溺れ、家を外にいたしますので、この春から一と間に押し込め、窮命《きゅうめい》をさせておりました。私の許しがなければ、一と足も外へは出られないように、座敷牢と申しては大袈裟《おおげさ》ですが、一と間に押し籠め、厳重な見張りをつけたのでございます」 「――――」 「だが、若い男と女は、どんな工夫をしても思いのたけを言い交します。伜も、どうして鍵を持出したか、座敷牢を抜け出し、表も裏も見張りが厳重で出られないので、庭の池から、水門をくぐって隅田川へ出た様子です。庭の池は潮入で、水門一つで隅田川に通じます。池には小さい釣舟がありましたので、それを漕いで出たようで、まったく呆《あき》れ果てたことでございます。そのうえ、前の日の夕方に用意した、五百両の小判を、風呂敷包にして持出したようで、小判と風呂敷がないので、あとでそれを知りましたが――」  主人徳兵衛の話はかなり長いものでしたが、大店《おおだな》の主人らしく、伜の放埒と不心得を苦々しがりながらも、涙を含んだ調子は争うべくもありません。 「お店の様子では、お葬《とむら》いはまだのようで」 「検屍に手間取って、伜を引取ったのは昨夜《ゆうべ》でした。それから入棺をしたり、お通夜をしたり、親類たちを集めたり、今日はようやくお葬いを出すことになりました」 「それでは、仏様を拝まして下さい」 「どうぞ」  主人の徳兵衛に案内されて、平次と八五郎は奥の部屋に入って見ました。親類の人達や近所の衆で、家の中はなかなか混雑しております。  仏様の前はいちおう整えられて、線香が部屋一パイに燻《くす》ぶっております。  平次はいちおう拝んだ上で、早桶を開けさせました。水死人並みの不気味に膨《ふく》れた死骸と思いきや、中の死骸は細々と痩せて、左の首筋に牡丹《ぼたん》のように開いたのは、お夏の指摘した凄まじい皮下出血です。  死骸には傷の痕はなく、物馴れた平次の眼には、これは溺れたものではなく、首の大動脈を激しく撃《う》たれて、咄嗟《とっさ》に死んだことは争う余地もありません。 [#5字下げ]四[#「四」は中見出し]  伊豆屋の店の者をいちおうは調べました。が、これはまったくの無駄骨折りでした。伜の菊次郎の放埒《ほうらつ》が始まってから、主人の取締りは恐ろしくやかましく、夜分の外出などは思いも寄らず、そのうえ菊次郎は独りぎめの通人肌《つうじんはだ》で、店の者などとは交渉もなく、菊次郎に怨みを持つ者などは想像も出来ないことです。  それに質両替という商売は、多勢の奉公人を必要とするわけではなく、暗くなってから外へ出たのは、下男の元吉たった一人、これは宵のうちに帰って、菊次郎が外へ出たのは、それから大分経ってから、おそらく橋場の渡し舟が停ってずっと後、たぶん真夜中近い刻限だったでしょう。 「引き潮が亥刻《よつ》(十時)時分、水が浅いと、水門から舟が出ませんから、伜が出たのは、真夜中過ぎになります」  主人の徳兵衛はそう言うのです。こうして下男元吉の疑いは、綺麗に拭《ぬぐ》い去られたわけです。  その元吉というのは、喰えそうもない三十男で、伜菊次郎とは一番よく馬が合いそうでしたが、時間の喰い違いが大きいので、まったく問題になりません。 「さて、雲をつかむようなことになったぜ、八」  平次が少し持て余すと、 「まだありますよ、親分、この家の二番目息子、徳三郎に当って見ちゃどうです、兄の菊次郎と違って、堅い一方の評判の良い男ですが、――先刻《さっき》まだ店にいたようですが――」  八五郎は平次を誘って店へ引返しました。暗い廊下を曲って、納戸《なんど》の前へ出ると、 「――――」  八五郎はソッと平次の袖を引くのです。 「――――」  平次も妙にギョッとした心持で立ち竦《すく》みました。若い男と女が、納戸の後ろで、何やら密々《ひそひそ》と語り合っているではありませんか。しかも、二人とも、涙を流しているのです。 「あ、親分さん」  立ち竦んだのは、女の方――菊次郎の許嫁のお夏でした。男の方は軽く一礼して、身をかわすように、隣の部屋にヒラリと避けてしまいます。それはお夏よりは一つ二つ上の二十歳そこそことも見られる、色の浅黒い、確りした男で。何んとなく手答えのある、確とした感じを与えます。 「お嬢さん――何んかわけ[#「わけ」に傍点]がありそうですね、差支がなかったら、話して下さい」 「ハイ」  お夏は少したじろぎましたが、悪びれた色もなく平次に従って、納戸の隣の長四畳に入りました。八五郎は心得て、その入口を見張ったことは言うまでもありません。 「ここなら大丈夫でしょう。さア、聴きましょう、お嬢さん」  許嫁の菊次郎の死骸が、まだ葬《ほうむ》りもせずに隣の部屋にあるのに、弟の徳三郎と、泣いたり笑ったりしているのは、確りものらしいお夏の熊度としては、いかにも腑《ふ》に落ちないものがあるのです。 「御尤もですが、これには深いわけ[#「わけ」に傍点]があります」 「――――」  お夏は端麗な顔を挙げました。まだ頬が上気して、睫《まつげ》が濡れております。 「私と徳三郎さんは、五年前から幼な馴染《なじみ》でございました。私がこの家に引取られる前からでございます。この家に引取られて兄の菊次郎さんよりは、弟の徳三郎さんと、私は親しくしておりました。菊次郎さんは遊び好きで、私などを相手にしてもくれません」 「――――」 「私と許嫁の披露があってからも、菊次郎さんの遊びが止まなかったので、私もつい白い歯も見せず、親しい気持になれなかったので、だんだん他所他所《よそよそ》しくなるばかり、それからの菊次郎さんの放埒は本当に目に余りました」 「?」  平次は黙ってその後を促《うなが》します。 「でも、菊次郎さんが亡くなって、その手文庫を調べますと、お気の毒なことに、私のことが、いろいろ書いてございました。菊次郎さんは、決して私を嫌ったわけでもなく、私が他所他所しくするので、ついたまり兼ねて放埒に身を持ち崩し、向島のお銀さんとやらに通い出したようで」 「――――」 「私はそれを知って、本当に菊次郎さんにすまないと思いました。今さら気がついても、後の祭りですが、せめては菊次郎さんを殺した下手人を挙げ、それから身を退きたいと存じ、明神下の親分さんのところへ参りました」 「――――」 「ところが、徳三郎さんは」  平次にもその消息はよくわかるような気がするのです。お夏に対して冷淡だったと思い込んだ兄の菊次郎が死んだ上は、お夏という獲物はもう、自分のものと思い込んだのでしょう。 「で、お嬢さんは、大方見当がついていることと思うが、菊次郎さんが釣舟で庭の池から出るのは、この間の晩に限ったことではなかった筈だと思うが――」 「三月過ぎになると、時々そんなことはあったようでございます」 「それを知ってるのは?」 「私と、弟の徳三郎さんくらいのもの。あとは奉公人たちは遠くにいるので、一人も知ったものはない筈でございます」 「菊次郎さんは舟は漕げなかったと聞きましたが――」 「私も、それが不思議でなりません」 「この家で舟の漕げるのは?」 「父は自慢でございますが、あとは元吉くらいのものでしょうか」  お夏の答えははっきりしております。 [#5字下げ]五[#「五」は中見出し] 「親分、これからどこへ行くんで」  伊豆屋の店を出ると、八五郎は平次の後を追います。 「向島へ行って見ようよ。菊次郎はそっと夜中にぬけ出して、ときどきそのお銀とやらに逢っていたようだ」 「そいつはたまらねえね、――そのお銀とやらは、大変な女だそうで」  八五郎はまた、揉手《もみで》をして喜んでおります。有名な美人に逢って見るのを、役得と心得ている八五郎です。  橋場の渡しを越えて、水神の森にかかると、お銀の茶屋はすぐでした。花時が過ぎて葉桜が毛虫だらけになると、暫らくは暇で仕様のないように見えますが。  だが、この葉桜の季節が、お銀の本当の稼ぎでした。お銀の魅力にあこがれた若い男たちは、灯に寄る夏の蛾《が》のように、水神のお銀の茶屋に覗《うかが》い寄るのです。  その一人が、伊豆屋の菊次郎であったことは言うまでもなく、これがまた、第一等の施主《せしゅ》でもありました。葭簾《よしず》張りの茶店に、いろいろの小旗をなびかせておりますが、奥は普通の家になって、そこにお銀と、茶汲女のお松という十八九の娘がいっしょに住んでいるのです。 「ご免よ」 「あ、銭形の親分さん」  平次が葭簾の中に顔を突っ込むと、お銀は少しあわてて飛んで出ました。二十一、二、年増《としま》と言って宜い女ですが、何んとなく、蒼く引締って、濃い陰影のある女ですが、感情が激発すると、パッと咲いたように華やかになる不思議な顔の持主です。  すべてが細々として、頼りないようですが、どこかに強靭《きょうじん》なところがあり、考えようではスポーツ型とも言えるでしょう。花時は五六人の雇人をおくのですが、葉桜になるとお松とたった二人、淋しいような暮しです。そのまたお松というのは、不きりょうで無口で、ちょいと扱い悪《にく》い女、こんなのがお銀の持っているらしい、暗い秘密の保持には必要なのかもわかりません。 「逢ったことはない筈だが、俺を平次と知っているのか」 「あら、銭形の親分を知らない者はありゃしません。江戸中の人で」 「大袈裟《おおげさ》な」  平次はちょっと舌打ちをしたい心持でした。一方から言えば、江戸中の悪い人間は、皆んな平次を知っているとも取れるのです。 「用事はもうわかるだろうが、伊豆屋の若旦那のことだ」 「溺れたんですってね。私も長いこと御贔屓《ごひいき》を受けましたが、お葬いにも伺《うかが》えない有様で」  お銀はちょっと萎《しお》れて見せるので、なかなかの風情です。 「いや、若旦那は殺されたのだよ」 「まア」 「お前のところへ、チョイチョイ来るそうじゃないか」 「いえ、近ごろは親旦那がやかましくて、座敷牢とかに入れられているそうで、この春からはお目にかかりません」 「座敷牢に入ってると、どうして知った」 「それはもう、世間の噂で」  店の者にも口留めして、世間には知らせなかった筈――と思いながら、平次はそこまでは素破抜きませんでした。 「若旦那は、夜中に釣舟で来ることはなかったのか」 「そんなことはありません。嘘だと思ったら、いっしょに此処に泊っているお松に訊いて下さい。若旦那はもう、二た月もここへいらっしゃらないんですもの」  お銀は妙に怨《えん》ずる色があります。  店の中は思いのほか貧しそうで、若旦那が滅多に来ないというのも嘘ではないかも知れません。 「すまねえが、ちょいと、家の中を見せて貰いたいが」 「え、え、どうぞ、金の茶釜《ちゃがま》も錦の小袖もありゃしません。私は家捜しされるのを、指をくわえて見ているのも変ですから、ちょいと遊びに出て来ます」  お銀はそう言って、粋な着流しのまま、気取ったポーズで外へ出てしまいました。  平次と八五郎は、その留守で、手いっぱいに家中を捜し廻りましたが、なかなかに洒落《しゃれ》た着物と、少しばかりの小遣のほかに、大した貯えもなく、これはまったく平次の当て違いでした。 「ちょっとちょっと、お前はいつ頃からここに居るんだ」  平次はお松に訊ねました。 「去年の春からおりますよ」 「たいそう繁昌するようだな」 「それ程でもありませんが」 「伊豆屋の若旦那はチョイチョイ来たようだな」 「去年の秋から、今年の春へかけてよく来ましたよ。三月になってからは、押し籠められたそうで、一度も顔を見せません」 「本当に一度も来ないのか」 「それは確かですよ。来ると、私が追い出されて、その代り小粒一つずつ貰いましたから、忘れるわけはありません」 「なるほどそれは忘れっこはない、――ところでお銀は外へ出ないのか」 「滅多に出ませんよ」 「伊豆屋の店の者は誰か来ないのか」 「下男の元吉さんは、チョイチョイやって来ますよ」 「弟の徳三郎さんは?」 「噂は聴いてるけれど、顔を見たこともありません」 「一昨日《おととい》の晩、お銀は外へ出なかったのか」 「ちょいと出たようです。頭痛持ちで疳性《かんしょう》だから、夜風に吹かれるのが好きで、チョイチョイ出かけます、――本当に頭痛持ちなんですね。頭へ油をつけるのが嫌いで、三日に一度、五日に一度は洗い髪にしております。あんなに毛を洗っちゃ悪かろうと思うけれど、本人に言わせると、女の頭の臭いほど嫌なものはないんですって」 「――――」  そんな話のうちに、家捜《やさが》しは大方済みました。一服やっていると、 「あら、もう済みましたの、――千両箱でも見付かりまして」  お銀は葉桜の下を笑いながら戻って来ました。深い表情ですが、いかにも邪念のない姿です。 「飛んだ邪魔したよ、それじゃお銀」 「あれ、もうお帰りですか、せめて商売物のお茶でも上げるのに」  平次はそれを背《そびら》に聴いて、一歩外に出ると、後に残った八五郎が、 「お銀、いやさ、お銀さん、邪魔したね。これをご縁に、ちょいちょい来るぜ」  立ち戻ってお世辞を言います。 「ま、飛んだご縁ね」 「ところで、その近づきの印に、気障《ぎざ》なようだが、手を握らせてくれ」 「あらまア、そんな事なら、――お安い御用ね、頬っぺたを嘗《な》めさしてくれとでも仰しゃることかと」  お銀が素直に手を出すと、八五郎はその手をムズと握りました。 「ま、痛い、大変な力ね」 「済まねえ済まねえ、ツイ力が入ったんだ。美い女はとく[#「とく」に傍点]だぜ」 「とく[#「とく」に傍点]だか災難だか」 「あばよ」  八五郎は桜の土手を、平次の跡を追いました。 「どうした八」 「とんだ役得で、思いきり柔かい手を握って来ましたよ」 「タコがなかったか」 「撥《ばち》ダコもありゃしません。ありゃ箸《はし》より重い物を持ったことのない手ですね」  平次はそれを聞くと小首を傾《かし》げました。何やら呑込み兼ねた姿です。 [#5字下げ]六[#「六」は中見出し] 「親分、見当はついたようですね」 「いや、まだまだそう手軽には行かない。お前は、お銀の素姓《すじょう》を知っているのか」 「あっしは知りませんが、原の郷に阿星《あぼし》半七郎という、大変な浪人者がいます。もとはお銀の好い人で、今は向島一帯を縄張りにしている侍やくざ[#「やくざ」に傍点]ですが、その男に訊いたらわかるでしょう」 「それじゃ頼むから、お前はそこへ廻ってお銀の前身を訊いて来てくれ」 「親分は?」 「明神下の家で待っているよ。尤《もっと》もその前に、もういちど伊豆屋へ行って、下男の元吉を脅《おど》かして見るが」 「ヘエ?」  八五郎は何が何やら、わけもわからずに本所へ廻り、平次はもういちど橋場の渡しを越して、伊豆屋に引返しました。  伊豆屋は葬《とむら》いを出したばかり、菊次郎の弟の徳三郎は、お寺へ行って留守、主人は奥へ籠ったまま、平次は下男の元吉を呼んで、裏口に引張り出しました。 「元吉、もうわかったよ」 「ヘエ?」  元吉のけげんな顔は見事でした。 「お前はいくら貰った?」 「何を仰しゃるんです、親分?」 「明日《あした》は五百両という小判を捜してやる、お前はその手伝いをするんだ。今日一日、どこへも出ちゃならねえよ」 「ヘエ」  何が何やらわからぬ様子の元吉を後に残して、平次は真っすぐに明神下に引揚げました。  八五郎が原の郷から帰ったのはその夕方。 「親分、何も彼もよくわかりましたよ。あのお銀という女の背中の灸《きゅう》の痕まで」 「そんなことはどうでも宜い」 「あれは潮来《いたこ》生れで、人魚のお銀と言われた大変な女ですよ」 「何が大変なんだ」 「泳ぎの名人で――尤も手は恐ろしく柔かいから、舟は漕げませんね」 「お前も飛んだところへ気がつく、――よしよし、それでわかった。今夜は少し面白いぞ」 「何があるんです」 「下っ引を三四人狩り集めてくれ。橋場の伊豆屋を取巻くんだ。亥刻《よつ》(十時)過ぎに外へ出る者をそっと出してやるんだ、その代りしっかり顔を見ておけ」 「ヘエ」  それから日が暮れるまで、平次と八五郎は退屈な時を過しました。そして、暗くなるとともに、もう一度、橋場へ引返したのです。 「ヘエ? また橋場へ行くんで?」 「それも術《て》だよ。あの辺で頑張ってると、夜釣の魚は出て来ない」 「ヘエ?」  橋場へ行くと、伊豆屋へは入らず、裏から廻って、かねて用意したらしい、一艘の艀舟《はしけ》に潜りました。 「八、頭から、その筵《むしろ》を冠れ。少しは埃臭《ほこりくさ》いが、我慢をしろ」 「変な匂いがしますね、親分」 「黙っていろ、舟を少し川の真中へ出して貰うから、物を言っちゃならねえ」 「ヘエ」  それは子刻《ここのつ》(十二時)近い時分でした。両岸の灯も消え、吉原通いの猪牙舟《ちょきぶね》の音も絶えて、隅田川は真っ黒に更けて行きます。 「月はないんですね」 「黙っていろ、今晩に限ってお月様は邪魔だ」 「あ、何んか、水の音が?」 「シッ」  二人は息を殺しました、どこからともなく微かに水の音が響きます。  それから暫らくのあいだ、八五郎は生れて初めての長い時間を経験しました。向島の方から一艘の小舟が、灯もなく静かに近づくのです。やがてその舟が、平次と八五郎の乗った舟に近づくと、闇をすかして此方を見ている様子でしたが、何事もないと見きわめがつくと、舟足をピタリと停めて、舷《ふなべり》から、スルスルと真っ黒な水面に滑る者があるのです。 「もう少し傍へ寄りましょうか、親分」  平次の耳の側で、八五郎は擽《くすぐ》ったく囁きます。 「いや、動くな――川の中に竿《さお》が一本立っていた筈だ、――その竿を見定めておいたのが良かったのだよ、暫らく待て――」  平次の声も、微風のようにそよぎます。  それからまた、やや暫らく経ちました。何やら水の音がして、相手の舟にドッシリした物が投げ込まれます。  やがて物音が大きくなって、闇の中にも何やら、飛躍的なものを感ずると、平次の手から一道の灯《あかり》がパッと射しました。泥棒がん[#「がん」に傍点]燈です。 「あッ」  八五郎は思わず声をあげました。泥棒がん[#「がん」に傍点]燈の丸い光の中に浮んだのは、何んと、緋縮緬《ひぢりめん》の腰巻一つになって、裸体になった女の立ち姿、それは全身水に光って人魚さながらの美女、蒼白い顔、肩に流るる黒髪、――それは凄艶《せんえん》にも、昇華《しょうか》し去りそうな美しい姿です。  その美しくも無気味な情景《シーン》も一瞬にして消え、女は身を翻《ひるがえ》して、夜の水の中に、ザブンと跳び込んだのです。  が、その泥棒がん[#「がん」に傍点]燈の光を合図に、舟は八方から集まりました。  舟の中に残ったのは男一人、それは飛び込んだ八五郎に取って押えられました。水に跳び込んだ女の姿は、十数艘の船を動員し、八方から、松明《たいまつ》をかかげて捜しましたが、ついに朝までも見付からず、朝の光の中に、夥《おびただ》しい船はそのまま引揚げる外はなかったのです。  船の中の男は、伊豆屋の下男元吉、船の中には、風呂敷に包んだ、五百両の小判が転がっておりました。そして人魚のような女は――言うまでもなく水神の森の茶店の女、お銀の姿だったことは言うまでもありません。           ×          ×  それより半|刻《とき》も前、水を潜って逃れたお銀は、そのまま捨ておき難いものがあったか、――いや、舟の中に着物を脱いだために、裸体で逃げるわけに行かなかったか、とにもかくにも水神の森の中の、茶店の裏口に立っていたのです。 「お松さん、開けておくれ、――私だよ」  晩春の水の冷たさに、お銀もさすがに顫《ふる》えておりました。焔に腰を包んだような、物凄い裸体、流れた毛を持ち扱い兼ねた姿で、そっと雨戸に拳を当てるのです。  内ではコトコトと音がして、お銀の前にガラリと戸が開きました。 「あッ」  それは思いもよらぬ銭形平次の姿だったのです。 「ここへ来るだろうと思ったよ。サア、着物を着るうちだけは待ってやろう」  平次はそう言って、逃げる思案もつかず、ぼんやり立っているお銀の手に、一とかさねの平常着《ふだんぎ》を投げてやるのです。 「ありがとう、礼を言ったものか知ら、銭形の親分」  お銀はそう言って濡れたままの身体に袷《あわせ》を引っかけ、蒼澄《あおず》んだ顔に、ニッコリ淋しい微笑を浮べるのです。  お銀も元吉も処刑《おしおき》になり、伊豆屋の二番目息子の徳三郎は、それっきり行方不明になりました。菊次郎の許嫁のお夏も、自分から身を退こうとしましたが、養い親の主人徳兵衛に望まれて、伊豆屋に留まり、その後を立てることになりました。  八五郎が絵解きをせがむと、平次は、 「わからないところは一つもないだろう。お銀は菊次郎を嫌って、五百両の金だけほしかったのさ。菊次郎が座敷牢に入ると、裏から小舟を出して、すぐ庭の裏の川で、向島から泳いで来るお銀と逢引していたのだよ。五百両持出させた晩、竹竿《たけざお》で菊次郎を撲《なぐ》り殺したが、五百両という小判を持ち運ぶ工夫はない、お銀は舟は漕げないから、川に沈めて竿を立てて目印《めじるし》にして置いたのだ。さてあの翌る日は、俺が川を捜すと触れて廻ったので、前の晩元吉に舟を出させて、目印の場所から五百両の小判を取出したのだよ。潮来《いたこ》で育ったお銀は、海女《あま》のように川を潜る」 「ところで徳三郎はどうなりましょう」 「兄を殺したも同様さ、悪い奴だ。元吉を使って、菊次郎が五百両持って出るのを、お銀に知らせたのだろう、――可哀想なのはお夏さ。良い娘だが、少し我が強くて菊次郎といっしょになる気がしなかったのだろう、――でも自分が好きになれないばかりに、菊次郎があんなことになった、罪亡ぼしのために明神下まで飛んで来たに違いない」 「でも、あの女は大した女でしたね。人魚と言うのは、あんなものでしょう」 「何をつまらねえ、――あれは竹竿で男を撲り殺す女だ。化物だよ」 「それに比《くら》べると、お夏は――愛嬌はないが、良い娘でしたね」  どこまで行っても、八五郎の女人|礼讃《らいさん》は果てしもありません。 底本:「橋の上の女 ――銭形平次傑作選②」潮出版社    1992(平成4)年12月15日発行 初出:「オール讀物」文藝春秋新社    1954(昭和29)年6月号 入力:特定非営利活動法人はるかぜ 校正:結城宏 2020年5月27日作成 青空文庫作成ファイル: 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