タバコとマントの恋 中原中也 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定    (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)Ⅱ ------------------------------------------------------- タバコとマントが恋をした その筈だ タバコとマントは同類で タバコが男でマントが女だ 或時二人が身投心中したが マントは重いが風を含み タバコは細いが軽かつたので 崖の上から海面に 到着するまでの時間が同じだつた 神様がそれをみて 全く相対界のノーマル事件だといつて 天国でビラマイタ 二人がそれをみて お互の幸福であつたことを知つた時 恋は永久に破れてしまつた。 底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩Ⅱ」角川書店    2001(平成13)年4月30日初版発行 底本の親本:「文学界 第五巻第一〇号」    1938(昭和13)年10月1日発行 入力:村松洋一 校正:館野浩美 2018年4月25日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。