いちぢくの葉 〔夏の午前よ〕 中原中也 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定    (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)Ⅱ ------------------------------------------------------- 夏の午前よ、いちぢくの葉よ、 葉は、乾いてゐる、ねむげな色をして 風が吹くと揺れてゐる、 よはい枝をもつてゐる…… 僕は睡らうか…… 電線は空を走る その電線からのやうに遠く蝉は鳴いてゐる 葉は乾いてゐる、 風が吹いてくると揺れてゐる、 葉は葉で揺れ、枝としても揺れてゐる 僕は睡らうか…… 空はしづかに音く、 陽は雲の中に這入つてゐる、 電線は打つづいてゐる 蝉の声は遠くでしてゐる 懐しきものみな去ると。 [#地付き](一九三三・一〇・八) 底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩Ⅱ」角川書店    2001(平成13)年4月30日初版発行 底本の親本:「創元 第一輯」    1946(昭和21)年12月30日発行 ※()内の編者によるルビは省略しました。 ※〔〕付きの副題は、作品の冒頭をとって、ファイル作成時に加えたものです。 入力:きりんの手紙 校正:hitsuji 2021年9月27日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。