おもちゃ店 小川未明 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)長二《ちょうじ》 ------------------------------------------------------- 長二《ちょうじ》は貧乏《びんぼう》の家《いえ》に生《う》まれて おもちゃも持《も》たずに 死《し》んでしまった。 美《うつく》しいガラス張《ば》りの店頭《みせさき》に、 西洋《せいよう》のぜいたくな小間物《こまもの》や、 赤《あか》、紫《むらさき》に、塗《ぬ》ったゴムまりや ぴかぴかと顔《かお》の映《うつ》る銀笛《ぎんてき》や、らっぱや、 なんでも子供《こども》の好《す》きそうなものが 並《なら》べてあるのを見《み》ると、 店《みせ》のガラス戸《ど》を砕《くだ》いて それらのものをめちゃめちゃにたたき壊《こわ》してやりたくなる。 隣《となり》に住《す》んでいた、 あの貧《まず》しかった、哀《あわ》れな長二《ちょうじ》のことを思《おも》い出《だ》したときに。 底本:「定本小川未明童話全集 3」講談社    1977(昭和52)年1月10日第1刷    1981(昭和56)年1月6日第7刷 初出:「読売新聞」    1907(明治40)年5月12日 ※表題は底本では、「おもちゃ店《てん》」となっています。 入力:ぷろぼの青空工作員チーム入力班 校正:江村秀之 2013年11月5日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。