おじいさんの家 小川未明 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)学校《がっこう》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)[#7字下げ] ------------------------------------------------------- [#7字下げ]一[#「一」は中見出し]  学校《がっこう》から帰《かえ》ると正雄《まさお》は、ボンと楽《たの》しく遊《あそ》びました。ボンはりこうな犬《いぬ》で、なんでも正雄《まさお》のいうことはよく聞《き》き分《わ》けました。ただものがいえないばかりでありましたから、正雄《まさお》の姉《ねえ》さんも、お母《かあ》さんも、みんながボンをかわいがりました。  ただ一つ困《こま》ることは、日《ひ》が暮《く》れてから、ボンがほえることであります。しかしこれは犬《いぬ》の役目《やくめ》で、夜中《よなか》になにか足音《あしおと》がすればほえるのに不思議《ふしぎ》なことはありませんけれど、あまりよくほえますので近所《きんじょ》で迷惑《めいわく》することであります。 「ボン、なぜそんなにおまえはほえるのだ。もう今夜《こんや》からほえてはならんよ、ご近所《きんじょ》で眠《ねむ》れないとおっしゃるじゃないか。」と、正雄《まさお》のお母《かあ》さんがおしかりになると、ボンは尾《お》を振《ふ》って、じっとりこうそうな目《め》つきをして顔《かお》を見上《みあ》げていましたが、やはり、夜《よる》になると、家《うち》の前《まえ》を通《とお》る人《ひと》の足音《あしおと》や、遠《とお》くの物音《ものおと》などを聞《き》きつけて、あいかわらずほえたのであります。  正雄《まさお》は、床《とこ》の中《なか》で目《め》をさまして、またボンがほえているが、近所《きんじょ》で迷惑《めいわく》しているだろう。どうしたらいいかと心配《しんぱい》しました。正雄《まさお》は起《お》きて戸口《とぐち》に出《で》てボンを呼《よ》びました。するとボンは喜《よろこ》んですぐに走《はし》ってきました。思《おも》いがけなく夜中《よなか》の寂《さび》しいときに呼《よ》ばれたので、ボンはうれしさのあまり、正雄《まさお》に飛《と》びついて、ほおをなめたり、手《て》をなめたりして喜《よろこ》んだのであります。 「ボンや、あんまりほえると、また、いつかのようにひどいめにあわされるから、黙《だま》っているんだぞ。夜《よ》が明《あ》けたらいっしょに散歩《さんぽ》にゆくから、おとなしくしておれ。」と、正雄《まさお》はボンの頭《あたま》をなでながらよくいいきかせました。そうしてまた、正雄《まさお》は床《とこ》の中《なか》に入《はい》って眠《ねむ》りました。  その後《あと》でも、おそらくボンはほえたかしれません。けれど正雄《まさお》はよく眠《ねむ》ってしまいましたから、なにごとも知《し》らなかったのであります。  朝《あさ》起《お》きると正雄《まさお》は、戸口《とぐち》に出《で》てボンを呼《よ》びました。ボンは、さっそくそばにやってきましたけれど、どうしたことかいつものように元気《げんき》がなかったのでありました。  ボンは病気《びょうき》にかかっているように見《み》えました。正雄《まさお》を見《み》ますと、いつものように尾《お》を振《ふ》りましたけれど、すぐにぐたりとなって地面《じめん》に腹《はら》ばいになってしまいました。そうして、苦《くる》しそうな息《いき》づかいをしていました。口笛《くちぶえ》を吹《ふ》きましても、ついてくる気力《きりょく》がもうボンにはなかったのであります。  正雄《まさお》は驚《おどろ》いて、家《うち》の中《なか》へ入《はい》って、 「ボンが病気《びょうき》ですよ。」と、お母《かあ》さんや、姉《ねえ》さんに告《つ》げました。  そこで、みんなが外《そと》に出《で》てみますと、ボンは脇腹《わきばら》のあたりをせわしそうに波立《なみだ》て、苦《くる》しい息《いき》をしていました。そうして、もう呼《よ》んでも、起《お》き上《あ》がって尾《お》を振《ふ》ることもできなかったのであります。 「あんまり、おまえがほえるものだから、だれかに悪《わる》いものを食《た》べさせられたのだよ。」と、お母《かあ》さんは、ボンの頭《あたま》をなでて、いたわりながらいわれました。  姉《ねえ》さんは、ボンの苦《くる》しむのを見《み》てかわいそうに思《おも》って、さっそく獣医《じゅうい》のもとへボンを車《くるま》に乗《の》せて連《つ》れていこうといいました。お母《かあ》さんもそれがいいというので、正雄《まさお》は車《くるま》を迎《むか》えにゆきました。そのうち車《くるま》がきましたので、ボンを乗《の》せて、姉《ねえ》さんと正雄《まさお》はついてゆきました。  獣医《じゅうい》のもとへいってみますと、ほかにもたくさんの、病気《びようき》の犬《いぬ》や猫《ねこ》が入院《にゅういん》していました。ほかの病気《びょうき》の犬《いぬ》は、檻《おり》の中《なか》から、くびをかしげて、新《あら》たにきた患者《かんじゃ》をながめていました。獣医《じゅうい》はさっそくボンの診察《しんさつ》にかかりました。  診察《しんさつ》の結果《けっか》は、お母《かあ》さんのいわれたとおり、だれかに毒《どく》の入《はい》った食物《しょくもつ》をたべさせられたのだろうということです。医者《いしゃ》はボンの体《からだ》を子細《しさい》に検《しら》べていましたが、後足《あとあし》についている傷痕《きずあと》を指《ゆび》さして、 「この傷《きず》は、いつつけたのですか。」と聞《き》きました。 「その傷《きず》は二、三か月前《げつまえ》に、やはりだれかにいじめられてつけたのでございます。なにしろ、夜《よる》になるとよくほえますので、近所《きんじょ》から憎《にく》まれていますもんですから。」と、姉《ねえ》さんは答《こた》えました。  ボンの後足《あとあし》には、かなり大《おお》きな傷《きず》がついていました。 「ボンは助《たす》かりましょうか。」と、正雄《まさお》は心配《しんぱい》しながら獣医《じゅうい》に聞《き》きました。 「さあ手《て》を尽《つ》くしてみますが、そのへんのことはわかりかねます。」と、不安《ふあん》な顔《かお》つきをして獣医《じゅうい》は答《こた》えました。  そのうちにボンは、しだいに気力《きりょく》が衰《おとろ》えてゆきました。正雄《まさお》や、姉《ねえ》さんがその名《な》を呼《よ》びましたけれど、しまいには、まったくその声《こえ》がボンには聞《き》こえないようになりました。そうして、薬《くすり》をのましたり、手当《てあて》をしたりしたかいもなく、とうとうボンは目《め》を閉《と》じたまま死《し》んでしまいました。  正雄《まさお》は悲《かな》しみました。姉《ねえ》さんも目《め》をしめらして悲《かな》しみました。そうして、ボンをまた車《くるま》に乗《の》せて家《うち》へ帰《かえ》りました。ボンが死《し》んだということを聞《き》かれて、お母《かあ》んも悲《かな》しまれました。 [#7字下げ]二[#「二」は中見出し]  みんなは相談《そうだん》をして、ボンをていねいにお寺《てら》の墓地《ぼち》へ葬《ほうむ》りました。そうして、坊《ぼう》さんに頼《たの》んでお経《きょう》を読《よ》んでやりました。その当座《とうざ》、正雄《まさお》はボンがいなくなったのでさびしくてなりませんでした。朝《あさ》起《お》きても、学校《がっこう》から帰《かえ》ってきても、飛《と》びついて自分《じぶん》を迎《むか》えてくれるものがなくなり、またいっしょに散歩《さんぽ》をするものがなくなったと思《おも》うと、いままでのように楽《たの》しみがなかったのであります。  こうして、はや幾日《いくにち》かたってしまいました。正雄《まさお》は、ボンのことをいままでほど思《おも》い出《だ》さなくなりました。  ある日《ひ》のこと、戸口《とぐち》から尾《お》を振《ふ》りながら入《はい》ってきた犬《いぬ》があります。なんの気《き》なしに、その犬《いぬ》を見《み》ますと、正雄《まさお》は驚《おどろ》いて声《こえ》をあげました。 「あ、ボンが帰《かえ》ってきた。ボンが帰《かえ》ってきた。」 と、つづけざまにいいましたので、みんなはびっくりして、そのほうを見《み》ますと、なるほど、ボンが帰《かえ》ってきたのでありました。 「どうしてボンが帰《かえ》ってきたろう。」と、お母《かあ》さんは不思議《ふしぎ》がられました。 「死《し》んだボンが、どうして生《い》きてきたのでしょうね。」と、姉《ねえ》さんもびっくりしていいました。  正雄《まさお》は、すぐさま戸口《とぐち》に走《はし》り出《で》て、ボンを見《み》ようとしました。ボンは喜《よろこ》んで正雄《まさお》の足《あし》もとにすりよってきました。正雄《まさお》は夢中《むちゅう》になって、ボンの頭《あたま》や脊中《せなか》をなでたのであります。 「しかし、死《し》んだ犬《いぬ》が、生《い》きてくるはずがないですねえ、お母《かあ》さん。」と、姉《ねえ》さんはいいました。 「私《わたし》もそう思《おも》うよ。ああして死《し》んでお寺《てら》に埋《う》めてしまったのじゃないか。それがどうして生《い》きてきたんでしょう。」と、お母《かあ》さんも不思議《ふしぎ》がっていられました。  けれど、その形《かたち》から、毛《け》の色《いろ》から、どこまでもボンと変《か》わりがありませんでした。正雄《まさお》は、たしかにボンが帰《かえ》ってきたのだと思《おも》いましたから、 「だって、ちっともボンと変《か》わりがないじゃありませんか。どうしてもこれはボンです。」と正雄《まさお》はいいはりました。 「ボンは後足《あとあし》に傷痕《きずあと》があったはずだから、そんなら検《しら》べてみればわかるでしょう。」と、姉《ねえ》さんはいいました。  正雄《まさお》は、犬《いぬ》を抱《だ》くようにして、その犬《いぬ》の後足《あとあし》を検《しら》べていましたが、急《きゅう》に大《おお》きな声《こえ》をたてて、 「これ、こんなに後足《あとあし》に傷痕《きずあと》があります。」と叫《さけ》びました。お母《かあ》さんも、姉《ねえ》さんも、みんなそばにきて、それを見《み》て、びっくりしました。 「まあ、どうしてボンが生《い》きかえってきたろう……。」 と、不思議《ふしぎ》がりました。  とにかく、ボンが帰《かえ》ってきたのだというので、肉《にく》をやったり、ご飯《はん》をやったり、お菓子《かし》をやったり、ボンが好《す》きであったものをやったりして、家《うち》じゅうは急《きゅう》ににぎやかになったのでありました。そうして、正雄《まさお》は、また明日《あす》から朝早《あさはや》く起《お》きていっしょに散歩《さんぽ》をし、学校《がっこう》から帰《かえ》ってきてもいっしょに散歩《さんぽ》することのできるのを喜《よろこ》んだのであります。  するとその日《ひ》の晩方《ばんがた》のことでありました。白《しろ》いひげの生《は》えたおじいさんが戸口《とぐち》を入《はい》ってきて、 「あ、ここに家《うち》の犬《いぬ》がきていたか。さあ、こい、こい。」といって、ボンを呼《よ》びました。しますと、いままで、正雄《まさお》のそばに喜《よろこ》んでいた犬《いぬ》が急《きゅう》に立《た》って、おじいさんのほうへ走《はし》ってゆきました。正雄《まさお》は驚《おどろ》いて、 「あ、この犬《いぬ》は僕《ぼく》の家《うち》の犬《いぬ》ですよ。連《つ》れていってはいけません。」と、正雄《まさお》はおじいさんに向《む》かっていいました。 「はははは、この犬《いぬ》は私《わたし》の家《うち》の犬《いぬ》じゃ、それは坊《ぼう》の思《おも》い違《ちが》いじゃ、これこのとおり、私《わたし》についてくるじゃないか。」と、おじいさんは笑《わら》って答《こた》えました。 「いいえ、どうしてもそれは僕《ぼく》の家《うち》の犬《いぬ》ですから、連《つ》れていってはいけません。」と、正雄《まさお》は、あくまでもいいはりました。 「ははは、困《こま》った坊《ぼう》だ。」と、おじいさんは笑《わら》っていました。  そのとき、お母《かあ》さんは出《で》てこられて、正雄《まさお》に向《む》かい、 「家《うち》のボンは、このあいだ死《し》んだのじゃないか。やはりこの犬《いぬ》は、おじいさんの家《うち》のですよ。そんな聞《き》き分《わ》けのないことをいうものでない。」と、しかられました。正雄《まさお》も、なるほどと思《おも》いました。 「私《わたし》は、何町《なにまち》、何番地《なんばんち》のだれというものじゃ。今度《こんど》の日曜《にちよう》にでも坊《ぼう》は遊《あそ》びにおいで。」と、おじいさんは立《た》ち去《さ》るときにいいました。そうして、つえをついて門口《かどぐち》を出《で》ますと、ボンはおじいさんの後《あと》について、さっさといってしまったのであります。みんなは不思議《ふしぎ》に思《おも》って、その後《うし》ろ姿《すがた》を見送《みおく》りました。 [#7字下げ]三[#「三」は中見出し]  正雄《まさお》は姉《ねえ》さんといっしょに、おじいさんの家《うち》へたずねていってみようと話《はな》し合《あ》いました。  やがて日曜日《にちようび》になりまして、その日《ひ》の朝《あさ》からよいお天気《てんき》でありましたから、正雄《まさお》は姉《ねえ》さんと、おじいさんの家《うち》へ出《で》かけました。おじいさんの家《うち》は町《まち》の端《はし》になっていまして、その辺《へん》は圃《はたけ》や、庭《にわ》が広《ひろ》うございまして、なんとなく田舎《いなか》へいったような趣《おもむき》がありました。  おじいさんの家《うち》はちょっとわかりにくうございました。二人《ふたり》は番地《ばんち》を探《さが》して、あちらで聞《き》き、こちらで聞《き》きいたしました。そうして、やっとその家《うち》を探《さが》しあてることができたのです。  その家《うち》は珍《めずら》しいわら家《や》でありました。日《ひ》の光《ひかり》がほこほこと暖《あたた》かそうに屋根《やね》の上《うえ》に当《あ》たっていました。鶏《にわとり》が圃《はたけ》で餌《え》を探《さが》して歩《ある》いていたり、はとが地面《じめん》に降《お》りて群《むら》がって遊《あそ》んでいたりしまして、まことにのどかな景色《けしき》でありました。 「まあ、ほんとうにいいところですこと。」と、姉《ねえ》さんは感心《かんしん》していいました。 「ボンはいるかしらん。」と、正雄《まさお》はいって口笛《くちぶえ》を吹《ふ》いてみました。けれど、ボンはどこからも走《はし》ってきませんでした。どこかへ遊《あそ》びにいっているのだろうと思《おも》って、二人《ふたり》は、その家《うち》の門《もん》を入《はい》りました。  ちょうど日当《ひあ》たりのいい縁側《えんがわ》に、おばあさんがすわって、下《した》を向《む》いて、ぷうぷうと糸車《いとぐるま》をまわして糸《いと》を紡《つむ》いでいました。二人《ふたり》は、その音《おと》を聞《き》くと、たいへんに遠《とお》い田舎《いなか》へでもいっているような気《き》がしたのであります。おばあさんは耳《みみ》がすこし遠《とお》いようでありました。で、二人《ふたり》の入《はい》ってきたのをすこしも知《し》りませんでした。 「ここがおじいさんの家《うち》だろうか?」と、正雄《まさお》は姉《ねえ》さんに向《む》かっていいました。 「おばあさんにたずねてみましょう。」と、姉《ねえ》さんはいって、おばあさんのそばへゆきました。おばあさんははじめて、人《ひと》のきたのに気《き》がついたようすでありました。姉《ねえ》さんは、おじいさんの姓《せい》と名《な》とをいって、 「このお家《うち》でございますか。」と、おばあさんに聞《き》きますと、おばあさんは、糸車《いとぐるま》をまわす手《て》をやめて、つくづくと姉《ねえ》さんと正雄《まさお》の顔《かお》をながめながら、 「おまえさんたちは、どこからおいでになりました。私《わたし》は、ちっとも見覚《みおぼ》えがないが。」と、おばあさんは答《こた》えました。  そこで、二人《ふたり》は、先日《せんじつ》おじいさんが犬《いぬ》を連《つ》れて帰《かえ》ったことを、おはあさんによくわかるように子細《しさい》に語《かた》りますと、おばあさんは、やはり、ふに落《お》ちぬような顔《かお》つきをして、 「多分《たぶん》、それは家《うち》がちがいますよ、そんなはずがないから。」と、おばあさんはいいました。 「じゃ、同《おな》じ番地《ばんち》に、こういうおじいさんは住《す》んでいませんか。」と、正雄《まさお》は聞《き》きますと、 「そのおじいさんの家《うち》ならここです。その人《ひと》は私《わたし》の連《つ》れ合《あ》いですが、もう一月《ひとつき》ばかり前《まえ》になくなりました。」と、おばあさんは答《こた》えました。二人《ふたり》は思《おも》わず顔《かお》を見合《みあ》って驚《おどろ》きました。 「どうしたのだろう。」といって、大《おお》いに不思議《ふしぎ》がりました。よくおばあさんに聞《き》いてみますと、ボンの死《し》んだころと、おじいさんのなくなったころと同《おな》じでありました。また、先日《せんじつ》正雄《まさお》の家《うち》へやってきたおじいさんと、死《し》んだおじいさんとは、ようすがそっくり似《に》ているのでありました。そのとき、おばあさんは、うなずきなから二人《ふたり》に向《む》かって、 「わかりました。おじいさんは平常《へいぜい》犬《いぬ》や猫《ねこ》や鳥《とり》が大好《だいす》きであったから、きっとその犬《いぬ》をつれて、いまごろは、極楽《ごくらく》の路《みち》を歩《ある》いていなさるのだ。坊《ぼっ》ちゃんが、犬《いぬ》をかわいがっておやりだったから、きっと犬《いぬ》があの世《よ》からたずねてきたのですよ。それをおじいさんが迎《むか》えにきて、また、連《つ》れていったのです。」といいました。  正雄《まさお》も姉《ねえ》さんも、あるいはそうかと思《おも》いました。やがておばあさんに別《わか》れを告《つ》げて帰《かえ》る途《みち》すがら、二人《ふたり》はボンのことを話《はな》し合《あ》いました。ボンはこの世《よ》に生《い》きていて、人情《にんじょう》のない人《ひと》たちにいじめられるよりか、かえってあの世《よ》にいって、しんせつなおじいさんにかわいがられたほうが、どれほどしあわせであるかしれないと語《かた》り合《あ》ったのであります。 底本:「定本小川未明童話全集 1」講談社    1976(昭和51)年11月10日    1977(昭和52)年C第3刷 初出:「おとぎの世界」    1919(大正8)年4月 ※初出時の表題は「お爺さんの家」です。 入力:特定非営利活動法人はるかぜ 校正:雪森 2013年4月11日作成 2013年10月8日修正 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。