「世界怪奇実話」序文 牧逸馬 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定    (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)Ⅰ ------------------------------------------------------- [#ここから改行天付き、折り返して2字下げ] 一、僕の「世界怪奇実話全集」である。読物として、文句なしに面白いものでありたい。これが僕の念願だ。 一、世界怪奇実話――怪奇は、謂わば荒唐だ。同時に実話は、文字通り厳正に事実だ。荒唐さと事実と、その表面背馳する二つの概念が混然一致するところに「世界怪奇全集」のイットが潜む。 一、僕は過般欧米を漫遊中、この実話に「事実は小説よりも奇」なる興味と、血の通っている把握力を感じて、凡ゆる種類の材料を蒐めて来た。その中から厳選して、中央公論に連載中のものを主に、以下続々この「世界怪奇実話全集」の刊行をつづけて行きたい。 一、文献的な意味でも、軈て世界的な一大集成にしたい野心である。これが相当出来上れば、ちょっと類のない仕事だと思う。犯罪だけとは限らない。およそ怪奇な事実物語ならば何でも取り入れる心算である。 一、僕は外遊中努めて其の一つ一つの事件の現場を訪れて、僕自身実際に調査した部分もある。 一、諸君と倶に悠々楽しむために、これは不定期刊行の全集である。日本では一つの新しい試みであると思う。 一、さて、いま諸君は、僕と一緒にこの世界探奇旅行に出発する。 [#ここで字下げ終わり] [#地付き]牧 逸馬 底本:「世界怪奇実話Ⅰ」桃源社    1969(昭和44)年10月1日発行 ※底本における「前頁の「序文」は初版本より転載」より、底本名を補い、作品名を「「世界怪奇実話」序文」としました。 入力:A子 校正:大野 晋 2023年12月20日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。