沙羅の花 芥川龍之介 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)沙羅木《さらのき》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)[#ここから2字下げ] -------------------------------------------------------  沙羅木《さらのき》は植物園にもあるべし。わが見しは或人の庭なりけり。玉の如き花のにほへるもとには太湖石《たいこせき》と呼べる石もありしを、今はた如何《いか》になりはてけむ、わが知れる人さへ風のたよりにただありとのみ聞えつつ。 [#ここから2字下げ] また立ちかへる水無月《みなづき》の 歎きをたれにかたるべき。 沙羅《さら》のみづ枝《え》に花さけば、 かなしき人の目ぞ見ゆる。 [#ここで字下げ終わり] [#地から1字上げ](大正十四年五月) 底本:「筑摩全集類聚 芥川龍之介全集第四巻」筑摩書房    1971(昭和46)年6月5日初版第1刷発行    1979(昭和54)年4月10日初版第11刷発行 入力:土屋隆 校正:松永正敏 2007年6月26日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。